三菱電機、再び不祥事「変わらぬ後手対応」の唖然 社長交代2日後に検査不備をHPで公表したが・・・ 次ページ » 高橋 玲央 : 東洋経済 記者 著者フォロー 2021/08/05 5:30 シェア 40 一覧 メールでシェア 印刷 A A 社長就任会見で頭を下げた漆間新社長。この2日後、ホームページ上に業務用空調の検査不備に関する文章を掲載した(撮影:尾形文繁) 相次ぐ検査不正や社員の自死などの労務問題から立ち直りを目指す三菱電機。その取り組みに、早くも暗雲が垂れ込めている。 6月に発覚した鉄道用装置での検査不正を受け、杉山武史前社長が引責辞任し、専務執行役だった漆間啓氏が社長に昇格したのが7月28日。そのたった2日後の7月30日、三菱電機のホームページにひっそりと、「業務用空調・冷熱機器ご愛用のお客様へのお詫びと点検のお知らせ」と題する文章が掲載された。 同社の冷熱システム製作所(和歌山市)が製造したビルや店舗などの大型施設に使われる業務用空調について、最終検査工程に使う装置が断線による故障で正常に作動していなかった。具体的には、絶縁抵抗試験と耐電圧試験が常に合格になる状態となっていたという。 7年間にわたり見落とされた不備 不備が起きていた期間は、2014年6月から2021年7月までの7年間。対象は578機種4万338台に及ぶ。うち27機種2430台は、電気用品安全法が定める検査ができていなかった。対象製品は、全て国内で販売されたものだった。 同社は法定検査ができていなかった製品の点検を進めるとともに、それ以外の製品も顧客の要望があれば無償で点検する。ただ、この試験とは別に通電による動作確認試験を実施しており、製品の安全性は確保できているとしている。 検査不備の期間は長かったものの、対象台数は限られており、再点検自体が経営に与える影響は軽微とみられる。だが、今回の不備は三菱電機が改善できない「問題体質」を改めて浮き彫りにした。 → 次ページ 社長への報告は就任会見後に 1 2 3 4 → 関連記事 次ページ » 高橋 玲央 : 東洋経済 記者 著者フォロー 2021/08/05 5:30 シェア 40 ...
企業は社会において経済活動を支え、雇用やサービスを提供する重要な存在です。しかし一方で、不正行為や非常識な対応が発覚すると、その影響は計り知れません。近年では粉飾決算や情報隠ぺい、従業員への不当な扱い、顧客への誠意を欠いた対応など、数々の企業不祥事が報じられてきました。これらの行為は、経営陣の倫理観の欠如やガバナンスの不備、短期的な利益追求への執着などが背景にあるといわれています。 不祥事が一度表面化すると、企業のブランド価値や株価は急落し、取引先や顧客との信頼関係は容易には回復できません。さらに従業員の士気低下や離職の増加といった内部崩壊も引き起こします。社会における企業の責任は単なる利益追求にとどまらず、透明性や誠実さをもって行動することにあります。 本稿では、過去に起きた企業のトラブル事例を振り返り、その原因や組織文化の問題点を明らかにするとともに、再発防止のための取り組みについて考察します。非常識な行為がなぜ生じるのか、どのように防ぐべきなのかを多角的に検討し、持続可能な企業経営に向けた教訓を提示します。