中国、企業の不正告発制度を強化 最高報奨金を倍増(写真=ロイター)

【北京=川手伊織】中国政府は12月から企業の不正告発を奨励する制度を強化する。告発した際の「報奨金」の最高額を100万元(約1700万円)とし、これまでの50万元から倍増させる。インターネット販売の普及などに伴い商品へのクレームが増えているため、企業内外からの告発を促して消費者の権利保護につなげる。
国家市場監督管理総局と中国財政省がこのほど新たな告発奨励制度を発表した。
告発対象は食品や薬品のほか、消費者の安全・安心にかかわる設備や製品の品質だ。エレベーターやエアコン、空気清浄機など幅広い品目が含まれるとみられる。
報奨金の決め方は通報者が提示した証拠の重要性などによって3種類ある。不正をした企業が払った罰金の1%、3%、5%のいずれかだ。内部告発の場合は罰金に対する比率を引き上げることも可能とし、最高額は100万元となる。
これまでも模倣品や粗悪品の販売、食品や薬品に関する違法行為の2つについて告発を促す制度はあった。報奨金の最高額はそれぞれ30万元、50万元だった。新制度はこれらを統合し報奨金を引き上げる。
通報者を保護する規定も盛り込んだ。告発者の情報を漏らしたり、不正企業に告発内容を伝えたりすれば、刑事責任を追及する。通報者が報奨金目的で告発をでっち上げた場合は処罰する。
消費者の製品やサービスに関するクレームは右肩上がりで増えている。中国消費者協会によると、全国の関連組織が2020年に受理した苦情は98万件超となった。ネットでの商品購入が普及したことで5年前より5割増えた。商品別では家電、日用品、食品に関するクレームが目立つ。
中国の企業や個人事業主の登記件数は1億4500万件と、12年の2.6倍に増えた。今回の制度新設の背景には、経済主体が増えたために監督当局による管理だけでは不正を暴ききれないという認識がある。消費者や内部の告発を生かして監督当局の行政コストを下げる狙いもある。
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