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図1 一連の不正問題に対するダイハツ工業の「現在地」
図1 一連の不正問題に対するダイハツ工業の「現在地」
(出所:日経クロステック、車両の写真:ダイハツ工業)
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 現在地はここ──。一連の不正問題で揺れるダイハツ工業が取材に応じ、2024年2月22日時点での状況について説明した。道路運送車両法の基準への適合が認められ、国土交通省が出荷停止の指示を解除する車種が徐々に増えており、現在は受注済み分の車両の生産を再開または計画している。

 一方で、SNS(交流サイト)などでダイハツ工業に対する厳しい意見が続出していることもあって、新規受注の再開には至っていない。同社はステークホルダー(利害関係者)の声と世間の評判の両方をにらみながら、生産再開の計画を慎重に立てているようだ(図1)。

 今、ダイハツ工業では車両の開発が止まっている。2023年4月に側面衝突試験の不正の事実を公表した後、同年5月から「いったん立ち止まる」(同社)という判断によって車両の開発業務をストップさせた。これにより、商品計画も宙に浮いたままだ。現在、親会社であるトヨタ自動車との間で事業領域を含めてダイハツ工業の経営の立て直しに動いている。従って、現時点では商品計画については答えられないとダイハツ工業は説明する。

「新規受注はまだ」

 一方で、2023年12月20日の出荷停止以降止まっている工場の再稼働を少しずつ進めている(図2)。まず、2024年2月12日に、共にダイハツ工業から供給するバンタイプの2車種、トヨタ車「プロボックス」とマツダ車「ファミリア バン」の生産を再開した。京都(大山崎)工場(京都府大山崎町)が生産を担う。続いて、同月26日からは「ミラ イース」や「ハイゼット カーゴ」「アトレー」などダイハツ車を含む10車種の生産を再開。このためにダイハツ九州大分(中津)工場(大分県中津市)を再稼働させた。

図2 調査報告書を公表した後のダイハツ工業の動き
図2 調査報告書を公表した後のダイハツ工業の動き
(出所:日経クロステック)
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 かねてダイハツ工業は、生産再開については「顧客の気持ちが工場再稼働の条件」と語ってきた。この点について、ダイハツ工業は販売会社や販売会社の労働組合からの手紙をきっかけに生産・出荷を再開したと改めて説明。業務用のクルマ(前述の2車種のバン)以外の乗用車の生産に関しては、納車を待っている顧客分の生産を再開するものの、新規受注については検討中だ。

 新規受注の再開については、世間からどのように見られているかも気にしているようだ。「これだけ大きな問題を起こしたことから、(世間の)我々を見る目はまだまだ厳しい。SNSなどでも(厳しい)指摘がある。現時点では(納車を)待ってくれている顧客への対応が全て。新たに受注を開始するフェーズ(段階)にはまだ入れないと思っている」(同社)。

 生産再開に向けて歩を進めているダイハツ工業だが、生産再開が早過ぎるという声もある。30年以上不正を続けていたのに対し、不正に関する調査報告書の公表と同時に工場の稼働を止めてから2カ月もたたないうちに生産を再開させるというのは、いかにも性急ではないかという見方だ。