ネット上の従業員口コミ、企業の不正予見に役立つか
米金融街は従業員による匿名の企業評価にもっと注意を払うべきかもしれない
Photo: Amir Hamja/Bloomberg News従業員が匿名でネット上に投稿した会社のレビューが、企業の不正行為を予測し、回避するために使える可能性があることが、新たな研究で示された。
米ハーバード・ビジネススクールとオランダのティルブルフ大学の研究者が行った調査によると、不正行為の予見には、企業の業績、報道、業界リスク、過去の違反行為など容易に識別可能な要因だけでなく、企業の口コミ評価サイト「グラスドア」に投稿された従業員のレビューから抽出された情報も役立つことがわかった。
ハーバード・ビジネススクールのデニス・キャンベル教授(経営学)が、ティルブルフ・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・マネジメントのルイディ・シャング準教授と共同で研究を行った。キャンベル教授は「こうしたレビューには、企業の統制手法や文化、運営、業績へのプレッシャーなど、不正リスクを高める可能性がある要因についての従業員の所見が示されている」と指摘。「従業員の意見」に耳を傾けることで、潜在的な不正行為に関する早期警鐘が発見できるという。
キャンベル教授は「人々が不正行為を起こすきっかけは、実際のところ、その人が置かれている環境にあるというのが我々の見解だ」と述べている。
匿名レビュー
研究者たちは調査のため、「グラスドア」に掲載されている米上場企業従業員の匿名レビューから、2008年6月から2016年12月までの情報を抽出した。期間中のレビュー数が10件未満の企業は含めていない。
次に、2008年から2017年の期間で、会社の規模や資本構造、収益性といった企業に関するデータ、各企業に関連するメディア記事の数など報道データを入手。そこから、廃業した企業や買収された企業など、必要な変数やデータが揃っていない企業のレビューをふるい落として、全データを統合した。最終的なサンプル数として、1478社に関する1万3363件の意見が集められた。
最後に、企業に対する民事・刑事事件を網羅する検索エンジン「バイオレーション・トラッカー」で、2008年から2017年にかけて米上場企業が起こした2万6934件の不正行為を抽出。これにより、不正行為で有罪となった企業のレビューにどのような単語が多く登場しているかを調べた。
研究者らは、機械学習技術を利用し、企業のレビューに「官僚主義」、「コンプライアンス」、「落胆させるような」、「えこひいき」、「嫌がらせ」、「敵意」、「能力主義」、「厳格」などの「不正行為関連ワード」がどの程度含まれているかを把握し、将来の不正行為を予測できるリスク指標を作成したという。
価値と限界
司法省でかつてコンプライアンスに関するコンサルタントを務めていたホイ・チェン氏は、この種の分析には価値があるとしながらも、この研究の限界についても留意することが重要だと指摘している。ホイ氏によると、この手法に基づく予測は、政府による処罰対象となったものに基づいて不正行為を測定しているため、様々な理由から政府が感知、追及していない、多くの「隠れた不正行為」を見落としてしまう可能性もあるという。
キャンベル博士はこのリスク指標について、既知の不正行為事例で開発、検証されたものではあるが、「隠れた」不正行為の可能性を特定するためにも利用できるのではないかと考えている。
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